【中国投資家(VC)市況】中国の2016年のベンチャー投資市場は、冷え込んでるのか?
中国の2016年のスタートアップ投資市場は、冷え込んでいるという話を聞いたので、少し詳しく調べてみました。
創投圏(VC.CN)の2017年1月16日に発表した<2016中国ベンチャー投資業界の年度市況レポート>を見つけたので、こちらをご紹介します。
<2005年〜2016年中国ベンチャー投資市場状況比較>
このレポートによると、
2010年までは、年間200〜350億元(3,000億円〜5,500億円)程度で、件数も1,000件以内で推移。
2011年に急増してから、右肩上がりに増加傾向にあり、2015年には激増して1,293億元(約2兆円)、件数も3,445件に増加しています。
2016年はというと、2015年からほぼ横ばいで、1,254億元(約2兆円)、3,440件となっています。
微減といったところでしょうか。
この微減の状況で、投資家に「ベンチャー投資市場は、冷え込んできたのか?」というアンケートを実施した結果、約半数が「まだ冷え込んでいない」と答え、30%が「なんとも言えない」、15%が「既に冷え込んできている」と答えたようです。
<2016年中国融資案件業界カテゴリ分布>
融資案件の業界分布では、
1位:エンタメ 12.53%
2位:企業サービス 12.26%
3位:ネットショッピング(EC) 11.55%
4位:金融 9.90%
5位:医療・健康 7.82%
となっています。
エンタメは、映客(インカー)や斗鱼(ドウイー)などの生放送(直播)アプリが多いと思います。
企業サービスは、滴滴(didi)やmobikeのような配車アプリや、シェアサイクルのようなサービスでしょうか。
ネットショッピングは、小红书(RedBook)のようなネットショップモールやEC店舗アプリだと思います。
<ベンチャー投資家の注目するラウンド>
注目されている投資ラウンドは、
1位:Aラウンド
2位:Pre-Aラウンド
3位:エンジェルラウンド
4位:Bラウンド
となっています。
意外とエンジェルラウンドが3位なんですね。
中国だとエンジェルラウンドが多いイメージがありましたけど、投資市場が大きい分、リスクが大きく、なかなかエンジェルラウンドに張りづらいってことなんですかね。
とはいえ、2016年の中国エンジェル投資件数は、2015年の2,075件よりも減少しているものの、投資金額は、121.92億元(約1,900億円)と、2015年の101.88億元(約1,600億円)よりも約20%も増加しています。
これは、初期のエンジェル投資を必要とする起業家にとっては嬉しいデータかもしれないですね。
<ベンター投資家が毎週平均で見ている投資案件数>
約半数が、1件〜10件程度の投資案件を見ているとのこと。
更に、31.2%が11件〜20件、17.6%が20件以上も見ている。
正直、日本のベンチャー投資家がどの程度、毎週見てるか分からないですけど、どう考えても、中国のベンチャー投資家の精査数が圧倒的に多そうな感じがしますね。
<2016年中国ベンチャー投資参加機関数>
2/3の投資ラウンドが、1社での投資のようですね。
続いて、2社、3社、4社以上となっています。
<ベンチャー投資案件はどこから来るのか?リファラー>
ベンチャー投資家が、投資案件を知るきっかけは、
1/3が自ら探していて、1/3が友人の紹介、残りの大半がファイナンシャルアドバイザー経由のようです。
何れにしても、ほとんどが結構アナログな感じですね。
意外と、そういう投資家と起業家が出会うプラットフォームのようなものが存在しないってことなのかな。
<2016年注目の投資案件>
1位:映客(インカー)
生放送(直播)アプリの映客(インカー)がダントツの1位ですね。
2位:摩拜単車(モバイク)
5位:ofo
2位の摩拜单车(モバイク)も5位のofoも、共に、レンタサイクルサービスですね。
2016年には入ってから、上海でもシェアサイクルが街中で激増してて、僕もたまに使ってます。
3位:VIPKID
3位のVIPKIDは、アメリカの正規の英語の授業を1対1形式で、オンラインで受けられるサービスですね。
4位:Keep
4位は、「運動測定」と「ソーシャル」が連動したアプリですね。
これは、僕も知らなかったです。ソーシャルと連動してるので、流行りそうですね。
6位:papi酱(パッピーちゃん)
6位のpapi酱(パッピーちゃん)は、中国では非常に有名なネット有名人です。
短編動画の配信で人気が出て、2016年3月には1,200万元(1.8億円)の投資を受けています。
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●参考ソース
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