鳥インフルエンザからも分かる中国社会
鳥インフルエンザが上海を中心に猛威をふるい始めています。
4月18日時点で感染者83名、死亡者17名。
今月11日時点で、38名だった感染者が一週間程度で、50名近く増加しています。
上海市政府も躍起になって封じ込めに動いているにも拘わらず、増加傾向は右肩上がりが続いています。
人から人へ感染するパンデミックであるかどうかも断定できていない上に、感染ルートも不明確です。
とにかく、何も分からない。ただ、感染した場合致死率が非常に高いということだけです。
しかも、上海を中心に広がっているので、私のところにも多くの友人や親戚から心配の連絡をもらいました。
ところが、現地(上海)の人たちはというと、あまり気にしていないようです。
むしろ、話題にすら出て来ません。
街でもマスクをしている人がほとんどおらず、マスクをしている人を見かけたと思ったら、日本人であることが多いです。
私も友人に会う度に、3Mのマスクをプレゼントしたりしてるんですが、当人たちはお礼だけ言ってカバンの中にしまってしまいます。
そこで、なぜこんな異常な状況で、そんなに余裕なのかと友人や知人、数名に聞いてみました。
返ってきた答えは、揃って
「死んだら死んだ」
「めんどくさい」
「感染する確率は低い」
といったものでした。
こういった反応を聞いて、驚きました。
「本当に自分や家族、友人が感染しても、同じ事が言えるだろうか?」
「自分から友人、家族に感染する可能性があるのに、心配ではないのだろうか?」
「そもそも、感染が恐ろしくないのか?」
と、正直思ってしまいました。
ところが、今思い返してみると、こういった「仕方ない」といった感覚が、中国国内に浸透してしまっているようにも感じます。
大きな大きな中国政府に対しても、同じように、自分たちではどうしもようないんだし、「仕方ない」といった空気を、これまでもよく感じていました。
自分ひとりの力ではどうしようもないことに対して、「諦めやすい」という環境が浸透しすぎて、「自分の周り以外」、つまり、「影響力の範囲外」について関心が薄いという社会を創りだしているのではないかと思います。
だから、全く知らない人に対して極端に冷たい社会になっている。
知らない人には、劣悪なものを売ってもいい
知らない人は、助けなくてもいい
知らない人は、騙してもいい
当然、中国の全ての人がそうではありません。
まして、中国人がそうなのでもありません。
中華人民共和国という国家が、社会をそうさせてしまっているのだと思います。
だからこそ、香港や台湾、シンガポールの中国人社会と大陸の中国人社会がこれほどまでに違うのだと思います。
中国には、これまで数千年にわたって育まれてきた素晴らしい文化や風習が沢山あります。
そういった中国の素晴らしさが、このたった数十年の中国社会を基に、軽視されるのは残念でなりません。
現在の中国の社会、環境が「諦め」を加速させていたとしても、自分ひとりからでも、社会をプラスに変えていきたいと、希望を持ってほしいですね。
しかし、恐ろしいですね。鳥インフルエンザ。
気にしすぎても良くないですが、できる予防はしておきたいですね。
さ、マスクマスク。