SHANGHAI★BASE

Unbot Group CEOのブログ。中国の最新市場動向を上海から発信。越境EC・訪日インバウンド・WeChat・Weibo・EC(タオバオ)etc...

2015年の中国モバイルECの出来事の振り返り

2015年は、中国におけるモバイルECの急激な発展の1年となりました。

 

●政府の後押し

2015年3月5日に、李克強首相の発表した「インターネット+(互联网+)」という行動計画でも

・モバイルネット

・クラウド

・ビッグデータ

・IoT

等の注目されるテクノロジー分野に加えて、ECの健全な発展も推進することがレポートに盛り込まれていました。

 

また、国務院から5月7日と6月20日に発表された「E-Commerceの健全な発展を促進する意見書」、「越境ECの健全な発展を促進する指導要領」によって、EC分野は政府の後押しを受けて、順調に発展を遂げていきました。

 

2015年中国モバイルECユーザー規模 3.64億人に到達

f:id:NoBorder:20160408002252p:plain

2015年:3.64億人(前年比23.8%増)

2016年:4.14億人(前年比13.7%増)

2017年:4.53億人(前年9.4%増)

2018年:4.88億人(前年比7.7%増)

2015年:3.64億人(前年比23.8%増)

 

 

2018年ネット小売市場全体に占めるモバイルECが75%を突破

f:id:NoBorder:20160408002817p:plain

 

 

 

 

●ECの日

2015年の「独身の日(ダブルイレブン)」では、天猫Tmallが912.17億元(約1兆8,000億円)を売り、そのうちの68.67%の626.42億元(約1兆2,000億円)がモバイルからの売上となりました。

中国EC2位の京東商城(JD.com)も100億元(約2,000億円)を売り、モバイル経由の売上が74%を占めました。

日本でも有名な「独身の日(ダブルイレブン)」以外にも、京東商城(JD.com)の開設記念日の6月18日にちなんだ、「618」や12月12日の「W12」、それから、アメリカの「ブラックフライデー」等の大型の「ECの日」が増加し、急激に発展を遂げています。

 

モバイルEC業界分析ーーー「独身の日(ダブルイレブン)」

f:id:NoBorder:20160408003023p:plain

 

左上:天猫 912.17億元(前年比40%増加) モバイルEC比率68%

右上:京東(JD) 100億元(前年比130%増加) モバイルEC比率74%

左下:蘇寧(スーニン) 前年比358%増加 モバイルEC比率67%

右下:聚美(Jumei) 前年比112%増加 モバイルEC比率67%

 

 

●猫狗大战(猫犬大戦)

8月10日に天猫や淘宝を運営するアリババグループが、中国EC業界4位の「蘇寧(スーニン)」に対して、出資し、第2の大株主になりました。

その結果、アリババにとって競合にあたる業界2位の京東商城(JD.com)に対抗するため、家電量販店である「蘇寧(スーニン)」を通して、全ての商品で京東商城よりも安くし、大量販売の商品については、京東商城よりも20%安くする事を宣言しました。

業界では、「平京战役」と呼ばれている出来事です。

これに対抗するため、京東商城は、資本関係にあるアリババの最大ライバル「テンセント」と共同で、「京腾计划(JDテンセント計画)」を発表し、京東商城ではテンセントと共同して、ブランドの知名度と信用度を高める「品商」と呼ばれるプラットフォームの構築を宣言しました。

 

2015年中国モバイルEC市場シェア

f:id:NoBorder:20160408003733p:plain

首位はダントツで、アリババグループの天猫と淘宝。

2つのプラットフォームを併せると、81.5%に到達

2位は、やはり京東商城(JD)で12.8%

3位は、フラッシュセール最大手の唯品会(VIP.com)で1.5%

 

去年の「独身の日(ダブルイレブン)」のモバイル経由の比率を見ると京東商城が一番高いので、モバイルへの移行は比較的スムーズに進行しているように見えるけど。。。

 

さすがに、天猫と淘宝の2つを併せると、京東商城もここまでシェア落ちるんですね。

 

 

 

●O2O業界の淘汰

O2O業界で過去にないレベルの大型の合併が相次いだ1年になりました。

市場で圧倒的なシェアを誇る配車アプリの「嘀嘀打车」「快的打车」が合併(2月14日)

これにより、この2つのアプリの市場シェアは90%以上とも言われています。

ちなみに、其々、上記最大競合にあたる「アリババ」と「テンセント」が出資していました。

この2社のライバルとも言われる検索エンジン最大手の「百度」は、アメリカの配車アプリ「Uber」に出資しましたが、完全に乗り遅れた感じです。

その他、O2Oの地域情報アプリ「58同城」と「赶集」も合併(4月17日)

グルーポンの巨人「美団」とレストラン情報サイト最大手「大衆点評」も合併(10月8日)

O2O分野では、めまぐるしい業界の変遷がありました。

 

●モバイル決済の浸透

2015年以降、モバイル電子決済は、アリババグループの「アリペイ(支付宝)」とテンセントグループの「WeChatペイメント(微信支付)」の普及とともに浸透し、レストラン、スーパー、コンビニ、デリバリー、ショッピングモール、空港、美容院、映画館、タクシー等あらゆる場所で利用できるようになりました。

 

2013年ー2015年 中国モバイル電子決済規模

f:id:NoBorder:20160408003423p:plain

2015年の春節(旧正月)に、中国のお年玉を送り合う習慣を利用したアリババとテンセントによる「红包大战(ホンバオダージャン)」で、一気にモバイル電子決済が普及し、その後習慣化したことによって、一気に底上げが発生。普及しました。

 

 

2015年モバイルネットユーザーの53.6%がモバイルECを経験

f:id:NoBorder:20160408004303p:plain

モバイルネットユーザーに占めるモバイルEC経験者の割合は、約半数の53.6%程度。

思ったより少ないですね。モバイルEC経験者はECヘビーユーザーが多そうですね。

モバイルECを利用しない理由

1位:情報の安全性が心配  35.6%

2位:電子決済安全性が心配  31.1%

3位:モバイルECのやり方が分からない 22.2%

4位:モバイルECを利用する習慣がない 20.0%

5位:ネット環境が悪い 15.6%

 

どうやら安全性が一番の壁になってるようですね。

ただ、中国でそんなことまで気にしてる人がいると思わなかったです。

恐らく、年齢別で見ると全く違った理由になっているんだろうと思います。

 

↓これは、上海の街角にある、リヤカーでお皿やマグカップを売っているおばちゃんの写真です。リヤカーもモバイル電子決済(アリペイとWeChatペイメント)対応です。

 

f:id:NoBorder:20160408002106j:plain

f:id:NoBorder:20160408002108j:plain

 

とにかく、去年(15年)と今年(16年)がモバイルECでの圧倒的な発展の時期になりそうですね。

 

実際にこの普及状況は、上海で生活する私としても、肌で感じます。

 

2015年は確かに、急激にモバイル電子決済を利用し始めた人も増えたし、利用できる場所も増えたように思います。

 

中国ECでは、完全にスマホファーストが基本中の基本ですね。