中国、孫子の兵法から学ぶこと
僕は、高校2年生の時に、中国に行く事を決めた。
その影響もあってか、そこから中国に関するアンテナが敏感になって、「中国」というキーワードに紐づくものはとにかく、興味がでた。
その興味の一つが、中国古代の兵法書「孫子」。
「孫子」といえば、2500年も前に孫武によって書かれた兵法書。
その兵法書は、現代の最先端の軍事戦争はもちろん、スポーツやビジネスの世界でも広く影響力を与え続けている。
その理由は大きく分けて二つある。
①あらゆる戦いの局面に応用できる「不変の原理原則」であること
②「三者の戦い(つまり複数の戦い)」を想定されていること
この二つの特徴によって、現代とは明らかに違った世界であった、2,500年も前に書かれた書物が、未だに広く読まれている。
この手の書物は、まさに何度も繰り返し読むバイブルのような書物だ。
読んだときの自分の環境や状況に応じて、考え方や応用の仕方が大きく変わるし、発見することも違う。
例えば、「孫子」の中でも特に有名な一節。
知彼知己者,百战不殆
「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」
これは、「敵を知り、己を知るならば、絶対に敗れる気づかいはない」という意味。
すごく単純だけど、すごく的を得た一節。
これは、ビジネスの現場でも同様。
マーケティングの「3C分析」なんかは、まさにそういった原則に基づいている。
市場(彼)、競合(彼)、会社(己)の構図。
ところが、それをしない会社が非常に多い。
3者ではなく、2者だけを注視。会社と競合だけといったように。
場合によっては、1者(会社=己)だけを見る場合すらある。
ちなみに、こんな良い例がある。
大横綱として名高い「千代の富士」と同じく横綱の「隆の里」のお話。
千代野藤と言えば、優勝三十一回、通算勝星1,000回をただ一人超えた戦後の大横綱。
ところが、かれにも天敵がいた。
それが、「隆の里」。
「プレジデント」「朝日ジャーナル」を愛読していたという知性は力士・隆の里は、ライバル千代の富士を知るために驚くべきを努力を重ねた
<次の天下を取るのは、千代の富士とにらんだんです。
その日から、千代の富士の相撲のデータを集めました。自分が上位にあがるためには、王者になる千代の富士を破らなければいけないと。
データは、本場所のビデオはもちろんのこと巡業中の千代の富士の稽古、それに千代の富士の物の考え方が知りたくなりまして、趣味趣向や横綱の読む本まで調べたものです。
巡業中は、なるべく千代の富士の側に明け荷を置いて、暇な時に何をするかを観察したものです。そうして集めたデータから、今場所の千代の富士は、どうせめて来るか作戦を練ったものです。
大事な一番で顔を合わせるときには、2、3日前から、24時間、一緒に生活している気持ちになって相手の出方を考えたものです。>
この結果、千代の富士自身は、
<あのころは、顔を見るのもイヤでしたね。何をやってもうまくいかないんですよ。私が全く違った作戦でいくと、また相手がその裏をかいてくるんです。なんか向こうのサイクルに、ぴったりはまってしまうんです。なんでこんなことまで考えてくるのかみたいな。>
この状態まで追い込まれた千代の富士は、「隆の里」に8連敗まで喫した事さえある。
この例は、1対1の場面における、応用だけど、複数であっても同様のことが言える。
企業のマーケティング担当者は、「隆の里」のレベルで、3Cを常に分析する根気とやる気が必要だと思う。
広告代理店は、その手助けをする存在であって、「隆の里」のレベルで自社の商品のことを考えられるのは、自社の人間でしかない。
それは、中国のような日本とは全く違った市場においては、特に、本気で取り組む必要がある。
ちなみに、「孫子の兵法」についてかなり分かりやすく解説されている書物はこちら。
19歳の時にオススメされて読んだ本です。確かに、非常に分かりやすい。
- 作者: 守屋淳
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2001/11
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログ (3件) を見る