SHANGHAI★BASE

Unbot Group CEOのブログ。中国の最新市場動向を上海から発信。越境EC・訪日インバウンド・WeChat・Weibo・EC(タオバオ)etc...

中国にはスモールビジネスの天才が多いのだけれども。。。

ベストセラーになっている「金持ち父さん貧乏父さん」を読んだことがある人は多いかもしれない



僕も10年ほど前の学生時代に読んで、印象に残ってる



その中には、E,S,B,Iという概念が出てくる。


つまり、従業員、スモールビジネス、ビッグビジネス、投資家という四つの収入の形について。



当然、前者二つの数が圧倒的に多いわけだけど、中国には、従業員とスモールビジネスを兼務している人が非常に多い。


さらに、スモールビジネスだけをを行っている人も多い。(日本と相対して)



理由としては、
1:ネット普及(ネットビジネスの手軽さ)
2:まだ、淘汰されていない
3:2000元/月を稼ぐために必死になる人が多い
4:インフレに給与が追いついてない(稼ぐ必要がある)
5:家を買う、結婚式など絶対的な大型支出がある
6:経済成長(消費意欲の増加)
7:華僑の存在

などが考えられる


実店舗としての個人商店、つまり、金物屋や八百屋などが未だに淘汰されていないというのは、どの先進国も通ってきた過程にいるから、時間の問題と思う。


ただ、最近目立つスモールビジネスというのは、圧倒的にネット関連だ



多いのは、
1:ネットショップ
2:ネットマーケティング(クリエイティブ制作やソーシャルマーケティングなど)
を生業とする起業。


しかも、多くの場合は、法人ではなく個人の集まりだ。


まあ、いろいろ理由はあるものの、一番は税金。



次に、法人設立の煩雑さ。これについては、以前僕も記事を書いてるけど。



こういった個人の集まりとしての事業体を中国語で「团队(tuan dui)」という。


団隊と書くけど、つまり、チームといったニュアンスが強い。


トップダウンの組織である場合もあれば、並行組織の場合もある。



ネットショップの場合は、トップダウン
ネットマーケティングの場合は、並行組織が多いかもしれない。


数でいえば、ネットショップが断然多い。


中国最大のネットモールであるタオバオはC2Cのモールなので、個人のお店が出店している。


販売しているものは、、海賊版のイラレやPhotoshopがあったり、Dropboxの50GBが30元で売ってたりとなんでもありだ。


中にはレンタル彼氏っていうのもある。


タオバオをみていると、中国人は、本当に商売上手だと感心することが多い。



だから、そういった視点からタオバオを見るだけでもなかなか飽きない。




そうやって見ていて、大体外れずにうまく行っているのは、輸入品だと思う。



当然、通関など通してはいないことが多い。



では、どうやっていれているのか。



僕の友人の中にも、年商10億円を超えるネットショップオーナーもいるけど、みんな色んな手段を講じて、あの手この手を使っている。



手段としては、

1:個別配送で小ロットにする

2:通関や行政政府への賄賂

3:香港経由の裏ルート

4:スチュワーデスなどの空港関係者ルート

などがある。


中国という国は、輸出はしやすいものの、とにかく物が入りにくい国。



関税も高く、ライセンスが必要なものも多いから、正規ルートでいけば、必ず商売にならないレベルの商材も多いと思う。



となれば、ずる賢い中国人は裏ルートを利用しようとするのは当たり前。


僕の友人でも、ニュージーランドのオーガニック商品を現地の華僑の親戚と協力して、タオバオで販売している人もいる。



彼なんかは一般のホワイトカラーよりも明らかに働いてないけど、収入は彼らの3、4倍はもらっている。



他にも、乳製品、ラグジュアリー商材など色々いる。



とにかく、日本人とは違って、行動が早く、良いと思ったらやってみてから考えるのが中国人。



色んな商売を若いうちからしてる人が多い。



スモールビジネスにおいては日本人の比ではないレベルで賢いと思う。



ただ、大きな問題もある。



それは、


スケールできない



ということと、



長期的に継続できない



ということ。





確かに、小金持ちになる人は多いと思う。



ただ、正規でないためにスケールもしにくいし、まさに風吹けば吹っ飛ぶ法的リスクもある。



正直。、本当の問題は、現状のスモールビジネスがスケールできないことではなく、そのことを問題に思っている人が少ないということ。




10年後はどうなっているか分からない以上、稼いだ資金は、スケールや長期的な継続が可能な事業を育てる投資に充てるという感覚が必要だと思うが、そういった感覚が極端に少ない。


また、どうなりたいといったイメージもないことが多く、目の前の利益だけを注視している場合が多い。



だから、こういったローカルの事業体には目標や中期計画、ましてや、ビジョンなんてものは存在しない。




ちなみに、僕もよく中国人の友人経営者と食事をしたりするが、ビジョンや目標を明確に答えた人は1人しかいなかった。




金持ち父さん貧乏父さんでも出てくるが、スモールビジネスは4つの中で最も辛いカテゴリーだ。



また、前者二つと後者二つでは世界が全く違う。



それは物理的な話ではなくて、考え方が大きく違うから、考え方ごと変える必要がある。




スケールには標準化が必須だ。



だけど、標準化は、自分でやれる範囲から抜け出したパラダイムの転換が必要だ。



それは短期的な視点では決してなし得ない。



なぜなら、標準化の過程は、短期的には不利益な場合が多いからだ。



中国では、一極集中の誰かに依存した組織が多いが、標準化を進めた長期的視点にたった組織やリーダーが増加すれば、多くの中国の膿が出るのはないかと思う。


そして、それを願ってる。



それは、民間においても、政府においてもだ。