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Unbot Group CEOのブログ。中国の最新市場動向を上海から発信。越境EC・訪日インバウンド・WeChat・Weibo・EC(タオバオ)etc...

中国の3,4級都市の平均月収が大幅に増加。中国の地方都市がアツい!? それとも、アツくない!? 

中国の地方都市(3,4級都市)が新しい消費のターゲットに?本当か?

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2012年11月30日に、中国の地方都市の消費者に関する統計データが発表されたので共有です。

 

3,4級都市の一般消費者の平均月収は、ここの4年間(09年〜12年)に88%も増加。


3,172元から5,961元に。

 

1,2級都市が57%の増加であることに比べると大幅な増加だ。

 

中でも、35歳〜44歳の中年層の増加率が高く95%と、4年間で月収が倍に伸びている。

(ちなみ、1,2級都市では64%)

 

また、調査対象者のうち約70%が当面の生活水準に「それなりに満足」と回答。

 

68%が「少し高いものでも高品質な方を購入する」と回答。

 

今回の調査は、全国の28省、69都市で、15歳〜45歳の消費者向けに、定性・定量での総合調査を、サンプル数10,000以上で実施した。らしい。

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ただ、正直、この「当面の生活水準に満足している」というのは疑わしい。。。

政府系の調査だけに、実態とズレているように感じるのは、僕だけだろうか。

この「少し高いものでも高品質なものを購入」というのも、実際には、一般的な日本商品という程の段階ではないのだろうな。

 

Huaweiのスマホじゃなく、小米やHTCを買うという感覚であって、iPhoneXperiaを買うといった感じではない。

 

まあ、超高級ブランド(GUCCI、LV等)というのは考えられるか。メンツとして。

あとは、食品。

 

粉ミルクなんかは日本の粉ミルクを買うだろうな。

 

 

そもそも、中国の場合は、収入等の基本属性だけでターゲットを絞るのはあまりにも危険だ。

(その話をし始めると長くなるので、ここではやめておくけど)

 

 とはいえ、3,4級都市でも1,2級都市の2/3程度の収入レベルに追いついてきていることは確かなわけだし、ドンドンその収入差が縮まっているのも確かだ。

 

 

外資系企業は、1,2級都市から進出をスタートしているので、この市場では過当競争が続いているのも確か。

 

 

3,4級都市のほうが競合も少なく、家賃を含む生活物価が低いため、消費意欲も高く、より魅力的な市場である可能性はあるかもしれませんね。

 

 

3,4級都市ほど、ブランドや海外製品の影響力が強い!?

3,4級都市の消費者市場がより魅力的になる可能性があるとして、いったいどんな商品に対する購買意欲が高いのだろう。

 

その問いに対するヒントがデータとして出ているので、紹介。 

 

64%の3,4級都市の消費者が「ブランドが購買行動の判断に強い影響を与える」と回答。

 

更に興味深いことに、56%の消費者が、「ブランドは商品の品質を保証すること以外に、面子(メンツ)に強い影響がある」と回答。

 

その他、51%が「輸入品は国産品よりも良いブランドイメージがある」とも回答。

 

特に、45%の消費者が服装においては、ブランドやデザインで、他人との違いを明確にしておきたいと回答。

中でも、華北地方(54%)と東北地方(56%)。つまり、北の沿岸部においてその傾向が強いようです。

ちなみに、3,4級都市の消費者は85%がアパレル商品をネットで購入しており、1,2級都市(74%)を大幅に上回っている。

 

このように、消費者は商品購入において、ブランド力がある商品を優先して購入する傾向が強く、更に、そのブランドに求めているのは、商品自体の品質というよりも、メンツであるようです。

 

この傾向は、3,4級都市に限ったことではなくて、中国全土の文化、風習、習慣に根付いたものでしょう。

 

メンツの国と言われるのは本当かもしれませんね。

 

中国では、金メダルと銀メダルが天と地の差

 

上述のデータからも分かるように、中国においては、ブランドはメンツのためというのが重要なファクターになっているようです。

 

 

だとすれば、メンツにならないような中途半端なブランドは、ブランドとしての価値を認めてくれないという可能性があります。

 

 

つまり、徹底したブランドでなければダメだということ。

 

 

にも拘わらず、多くの日系企業は、自社の商品は先進国から来た商品であり、中国に置いてはメイドインジャパンであるだけで、ブランド力があると信じて疑いません。

 

 

但し、現実は全く違います。

 

 

メンツになるほどのブランドとは、一握りだけです。

 

 

ちょっと極端ですが、銀メダルの価値が極端に低いのが中国なんです。

(実際、ロンドンオリンピックでも、銀メダリストへの報道が少なすぎるという理由でメディアに批判が殺到しましたが。。。)

 

 

それがより顕著なのが、急激に成長して物欲が旺盛な3,4級都市です。

 

 

残念ながら、日系企業の商品は、欧米企業のマーケティング力の前では、ほとんどの商品が、銀メダルです。

 

ノーメダルでも銅メダルでもないかもしれませんが、金メダルでもありません。

 

それは可能性がないことを意味しているわけではありません。

 

まずは、この状況を理解した上で、金メダル戦略を捨て去ることです。

 

 

「敵を知り、己を知れば、百戦してあやふからず」と言います。

 

 

但し、敵を知ろうとしないからこそ、己が見えないのです。

 

 

もし、上記のように、市場が伸び、消費者の収入が伸び、海外商品に良いイメージがあり、ブランドが重要視されているという情報を見て、日本商品は3,4級都市で売れると安易に思ってしまったとしたら、問題です。

 

 

今一度、立ち止まってみる必要があるのかもしれません。

 

 

中国3,4級都市の消費者にはAISASが効果的?

中国の3,4級都市の消費者の購買行動に関しての統計が出ているので、次回ご紹介させてもらう。