SHANGHAI★BASE

Unbot Group CEOのブログ。中国の最新市場動向を上海から発信。越境EC・訪日インバウンド・WeChat・Weibo・EC(タオバオ)etc...

大工屋さんの洪社長

CoworkingSpace「Vinci Base」の内装を進めている。

 

内装・家具の設計から、各部門の業者探しまで全て独学。

最初のスペースは、とにかく自分たちの手で作りたかった。

気持ち、理念の想いもあれば、今後のことを考えて一度経験しておきたい気持ちもある。

 

設計自体は壁にぶつかりながらも、そもそも好きなことなので、まず、楽しい。

 

ただ、一番大変なのは素材集めや内装業者さんの選定。

 

一括で内装業者、設計業者に丸投げせずに、「0」から作り上げるため、デスク、椅子、看板、電線、電話線、大工、電工、ガラス職人、コピー機、セキュリティカメラ、ICカード等々数え上げればキリがないが、全て業者の選定から素材、商品の選定、デザインの設計まで自分たち。

 

今となっては分かることも相当増えたが、最初は悪戦苦闘して各分野の専門家に走り回って教えを請いていた。

 

最初に決めたのは、引渡し後に床を壊して敷き詰め直す、且つ、電源や電話線の配線を行う業者。

 

色んな方の紹介で、7,8社の中から選んだのは、洪さんという東南アジア系の雰囲気漂う社長の会社。

 

物件を見積もってもらっているときから専門性が高く、判断や見積もりも早い、それに、物件の不動産管理業者からの紹介でいくつも同じ区画内の内装を手がけていることが決め手で決めた。

 

ただ、最初は良かったものの、自分が想定していた事以外にも後から後から、確認すべき事項(配線の仕方や板の高さ、龙骨の量など)が出てきたり、それに伴う細かい追加の作業があったりと段取りが悪く、洪さんに迷惑をかけてしまった。

 

とはいえ正直許容範囲だった(と思う)。

 

確かに、彼が想定していたよりも仕事量が多くなってしまったかもしれないが、この物件は自分たちでしっかりと作り上げたいし、絶対に手を抜きたくない。

 

予算には配慮しながらも、細部には拘って最善のものを作りたい。

簡単に妥協したくなかった。

 

ただ、洪さんは自分が毎日物件の工事現場に来て、大工さんに色々と質問しつつ、要求もしてくることに対して、そもそも見積もり内にあった事項に加えて、次から次へと価格の吊り上げ交渉や材料の追加発注を申し出てきた。

 

 

僕は、基本的に見積もり範囲内の話しかしておらず、無理な要求はしていない。

ただ細かい指摘や要求が多かっただけ。

 

 

 

例えば、タバコをポイ捨てしている大工のこと、床の設置や塗装の雑な部分を注意したり、電源の位置を細かく指定したり。

 

 

妥協したくなく、要求が高い自分と想定より要求が高いことに対して次から次へと価格交渉をしてくる洪さんとは、これまで何度もぶつかった。

 

 

正直、要求に答えられないのなら、業者を選定し直そうかとも何度も思った。

 

ただ、現場のスタッフは、自分と関係も良好で、更に、基本的に真面目に対応してくれるので、信じて思いとどまっていた。しかも、根が良い人ばかり。

 

大工:「あんた毎日来て大変でしょ。それに飲み物まで買ってきて。良いやつだからここ、おまけでやってやるよ!」

 

と言われて、残業なんてしないはずの大工さんが、残業までしてくれる人もいた。

 

 

中国では大工さんの給与水準はまだまだ低く、出稼ぎ労働者が多いので、正直、訛りすぎて相手が何を言っているのか分からないこともよくあった。

 

 

それでも、人の良さだけは感じることができような人たちだった(マナーが悪いことはあるが。。。)

 

 

それに比べて、老板は如何にお金を取るかしか考えない交渉をしてくるので、「なんでだ?」と本当に悲しくなった。

 

 

それでも、現場のスタッフを信じて進めて、一昨日やっと最終確認まできた。

 

 

 

最終確認の時に、また幾つか修正要求を伝えつつも、一部は頼まずに自分たちでやるよと話した。

 

それから、見積内の1項目を実行しなくなったが、「大工さんよく頑張ってくれたので、価格据え置きで良いですよ」という話をしていた。

 

 

すると、あれほどお金にうるさかった洪さんが、気づいたら、「自分でやるよ」と伝えていた部分も修正してくれた上に、1項目実行しなかった分は割り引くから払わなくて良いと言い出した。

 

しかも、頼んでいないところまで追加で、進んで修正してくれた。

 

 

これを見た時、なんだか暖かい気持ちになって、やはり人は「誠実」であることが非常に大事だなぁと心から感じた。