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Unbot Group CEOのブログ。中国の最新市場動向を上海から発信。越境EC・訪日インバウンド・WeChat・Weibo・EC(タオバオ)etc...

中国で急成長中のレストランチェーン「一茶一坐」

先週末に、中国で急成長中のレストランチェーン「一茶一坐」の老板(経営者)と杭州に2泊3日で旅行に行ってきました。

 

「一茶一坐」は、台湾の起業家集団と中国の起業家集団10名ちょっとのチームで、2002年に作り上げたレストランチェーンです。今では、中国1級2級都市を中心に、約130店舗を展開しています。

 

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その名の通り、「1杯お茶を飲んでゆっくりしていって下さい」という意味です。

「把客人当朋友,把伙伴当家人」を経営理念に掲げています。

「お客さんを友達に、取引先を家族に」という意味です。

 

日本では、渋谷に1店舗持っていましたが、効率の悪さから一旦撤退しています。

今後、上場した後国外展開を加速するようです。

 

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今では、急速に成長し、年間20店舗以上のスピードで拡大中の彼らですが、最初の3年は非常に苦労したといいます。

苦労した点としては、 

・サービスの質の向上

・好立地への出店

・好食材の確保、商品開発

・出店資金繰り

・人材の育成

などなど上げればきりがないですが、その中でも特に重要だったのが、次の3点だといいます。

 

★スピード

★好サービス・好商品の提供

★好立地出店

 

 

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【スピード】

スピードについては、中国での事業の鍵の一つであり、どの業界にも言えること。

彼らは、急速に出店しながらも、採算の悪い店舗は躊躇せずに閉め続けたといいます。

PDCAを早くまわすのが非常に重要だとおっしゃっていました。急激に発展する中国では、地下鉄等のインフラも次々に整備され、好立地自体が刻々と変化するため、躊躇していては好立地を逃しやすく、悪条件下に資金を吸い取られるといいます。

 

 

【サービス・商品】

中国で生活された方はお分かりかと思いますが、中国のサービスレベルは、つい最近まで「物を供給される」社会基盤にあったことから、まだまだ発展途上です。

 

そんな中で、「一茶一坐」のサービスは中国のレストランチェーンとしては一流と言えます。

だからこそ、際立って感じます。

 

実は、このサービスのルーツは日本にありました。

 

彼らは、開業の初期段階で、日本でもサービスレベルがトップクラスと言えるであろう、東京ディズニーランドでの長期の研修に参加していたそうです。

 

オリエンタルランドさんとのツテから、「一茶一坐」の創業幹部が揃って、研修に参加し、その徹底したサービスの本質を店舗運営に活かしている。これが、彼らの質の高いサービスにつながっているようです。

 

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彼らの店舗はどこにいっても、店員は笑顔で対応し、素早く行動します。

注文を受けると砂時計が机に置かれ、この砂時計が落ちるまでに商品が届かないと、なんと無料になります。

 

また、厨房も拝見させてもらいましたが、日本並みにきれいで、厨房の人は皆、帽子&ネットをかぶり、髪の毛が落ちないようにしています。(日本では普通でも中国ではあまりありません。。)

 

【好立地】

実は、この部分が日系のレストランチェーン大手が中国国内で苦戦している部分でしょう。

 

既にご存知の方も多いと思いますが、中国では袖通しは当たり前です。

 

店舗展開において、政府関係者やデベロッパーとの

 

関係は、非常に重要で、その行為が良い悪いに関わらず、それが、中国のビジネスマナーであり、重要なファクターになっています。

 

以前目にしたニュースでは、「主要27カ国中、企業による賄賂が少ない国ランキング」で中国は26位、ロシアは27位となっています。政治体制上当然といえば当然です。

 

但し、日系企業はこのあたりのことを綺麗にこなそうとする傾向が強く、中国では、当然好立地での出店を行えません。

 

飲食店として命である、立地において、優位性を発揮できないため、店舗の拡大スピードは遅く、不採算店舗が多くなってしまいます。

 

中国という市場に進出すると腹を括った以上、「郷に入っては郷に従え」は、商人(事業家)として、進むべき道だとおっしゃっていました。

 

 こういったやり方も駆使しつつ、現在、年商は6億元を大きく超え、急成長しています。

 

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彼は、中国人にしては(?)非常に繊細で、数字に基づいて、市場を分析しながら次の一手を打っているようです。

経済成長の波に乗って、経営者の感覚・主観だけで、走っている人を多く見かける中国において、意外な方だという印象を受けました。

 

かつて日本が高度経済成長期に、偉大な起業家、経済人が多く輩出されましたが、まさに、中国ではリアルタイムで輩出されている印象です。

 

今後も引き続き勉強させてもらうとともに、こちらからも何か提供できるよう頑張らねばと感じます。